「もったいない」に向き合う。
食の安全を守りながら、食品製造業の社会的責務を果たす。

2023.03.27
ヤマサン食品工業株式会社

SDGs推進のきっかけを教えてください。

~女性従業員の声をきっかけに、CSR委員会を発足~

 

「ヤマサン食品工業」は、安全で美味しい食品製造で、全国の顧客から厚い信頼を得てきました。徹底した衛生管理と品質管理を行い、食の安全性を確保するルールを厳格に定め、高品質な商品を提供し続けています。そのため包装時の印字のズレ・かすれを理由に販売できなくなる商品もあります。かつては経営層も従業員も、廃棄が当然だと考えてきました。しかし食品ロスが社会問題となる中で「『もったいない』を何とかしたい」と、ひとりの若手女性従業員が社長に訴えました。この声がきっかけとなり2021年度CSR委員会が発足し、社内の各部署から集まったメンバーがSDGsを学び始めました。世界の共通の目標だからといって背伸びするのではなく、自分たちが無理せずに継続できることを実施しています。フードバンクへの寄付、カーボンニュートラル実現への貢献など、持続可能な社会に向けての取り組みが少しずつ拡大しています。

 

食の安全を守り、「もったいない」に向き合う活動をしていらっしゃいますね。

~地産地消にも貢献し、安全で美味しく、手軽に使える商品を製造~

 

 食品製造会社としての役割を果たすことを第一に考えており、富山県SDGs宣言の目標1も「安心・安全で持続可能な商品を提供します」としました。目標を達成するには、富山県の農作物を使うことも一つの方法だと思っています。また、地産地消の取り組みを通じて、富山の農業の維持・発展にも貢献できます。富山県産大豆を使った「機能性表示食品」 「栄養機能食品」を製品化しており、さらなる消費拡大のサイクルを目指しているところです。

 

 

 新しい商品を発売すると、公式ウェブサイトやSNSで商品の調理方法等を紹介しています。加熱やカット済みで時短調理につながる商品を発売し、手軽にできる美味しいレシピを伝えることが私たちの役目です。家事時間の短縮が、心のゆとりや幸せにつながることを願っています。2022年1月からは、富山県の産後ヘルパー派遣モデル事業の指定事業者を通し、子育てを始める家庭に当社の商品を届けてもらい、忙しい育児中の食事に活用してもらっています。また、「もったいない」という気持ちは、フードバンクとやまへの毎月の寄付の実施につながりました。パッケージの印刷が少しずれている等、中身に問題がないのに廃棄されていた商品を寄付し、食品ロス削減に貢献しています。

 

働き方改革、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みもされていらっしゃいますね

~従業員も働きやすさも、地球環境の保全も考える~

 

 女性従業員が6割を占めることから、ワークライフバランスのとれた働き方を求める意見がCSR委員会でも活発に交わされました。目標2は「仕事と子育てが両立できる働きやすい環境づくり、そして健康で長く働き続けられる企業を目指します」としています。同委員会の発案で、年間休日数を110日から県内中小企業平均以上の116日に増やしました。育児休暇を取得する男性も出てきています。がん検診制度も設け、2021年度は9人、2022年度は6人が受診しました。
 目標3は「環境負荷の軽減に貢献します」です。環境負荷軽減のために、バイオマスインキを使ったパッケージに順次切り替えるなど、SDGs達成につながるための取り組みを各部署が連携して実施しています。また、ワークフローを変更してペーパーレス化に取り組んだところ、2021年度は7.5%の削減、2022年度は新たな見直しをしたことで10%以上の削減が見えています。ペーパーレス啓蒙のためのポスター制作も行うなど、社内全体に活動を浸透させています。また2022年11月にカーボンニュートラルの実現を目指す取り組みとして、「北酸」(富山市)が提供する取次サービスを活用し、FIT非化石証書を購入しました。3ヶ年計画で本社工場及び事務所の電力を、100%実質再生可能エネルギーに切り替えることにしています。2022年度は年間購入電力の50%超が実質再エネ電力となり、初年度だけでCO2削減効果は182tにも及びます。脱炭素化へ向けては、自社で太陽光発電を実施する検討も重ねていましたが、「北酸」が購入代行サービスを2022年春に開始したことで非化石証書の購入に踏み切りました。

今後への意気込みを聞かせてください。

~食品製造会社の社会的責務を果たす~

 

 近ごろはSDGsや環境負荷軽減の取り組みが取引の必須条件となっている取引先もあり、自社の目標や実施状況・結果についてしっかり公表していくことが大切だと思っています。CSR委員会は「自分たちができることを、無理なく実現するのが持続可能」という考えのもと、お客様と自分たち、地域のためのSDGsの取り組みを実施していきます。今後も活動を続けながら、食品製造会社の社会的責務を果たす気持ちで「もったいない」と向き合います。

ヤマサン食品工業株式会社
担当者
サステナビリティ推進委員会
バロン有希子
事業所住所
富山県射水市黒河3197
地域
射水市
業種
製造業
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