IoT技術で地域の健康を守る。
データサイエンスの活用で、社会インフラの高寿命化を目指す

2023.03.31
株式会社アイペック

SDGs推進のきっかけを教えてください。

~企業の成長と発展のために、SDGs推進が不可欠~

 

 SDGsの推進による社会課題解決は、世界の持続可能な成長に欠くことができません。当社は北陸三県を中心に、非破壊検査や土木調査診断、IoT開発を展開しながら、橋梁やダムなどのインフラ構造物の保守点検を実施していますが、サステナブルな社会が構築されることによって、私たちのお客様も様々な変容を遂げると考えています。社会インフラの安全を守る当社にとってSDGs推進は事業継続にも関わり、地球規模の課題解決と経済発展を両輪で進めることで、企業の成長を目指しています。

 SDGsの豊かで安全な暮らしを継続的に営むという理念は、当社の相談役が定めた経営理念「百年の大計 人と公」と一致しています。半永久的な経営の持続で、企業としての質的向上を図り、社員の成長を支援するのが経営者の責任でもあります。まずは全社員がSDGsを知ることから始めようと考え、金沢工業大学の平本督太郎准教授のもとで学ばれた講師の方々を招くなどし、約1年半かけて18回の講座を実施しSDGsを学びました。基礎を理解してからは、会社の仕組みや制度の運用を加速させています。お客様に対しては依頼内容に追加の提案やアドバイスをする「プラスワンサービス」を実施しており、付加価値の高いサービスの提供にもSDGsの知識をつなげています。

 

インフラ構造物の品質や安全を守っていらっしゃいますね。

~パートナーシップを強化し、より高度なサービスを提供~

 

 地域の安心・安全を守ることが当社の事業であり役目であることから、富山県SDGs宣言の目標1は「社会インフラの維持管理の効率化に貢献する」としました。高度経済成長期に集中的に整備された社会インフラは、建設から半世紀以上経過するものも増え、今後は急激な老朽化が懸念されています。ただ国内の全てのインフラを更新することは困難であるため、戦略的な維持管理を行わなければなりません。そこで必要とされるのが当社の技術です。構造物の非破壊検査は、いわば人でいうところの健康診断。定期的に実施することで安全を守れます。2、3年ほどの間に技術的な協力体制を組む企業を大幅に増やし、現在は県内外の20社ほどと連携しています。パートナーシップを強化することで、放射線や超音波、磁気などを用いた検査は、より高度なサービスを提供できるようになりました。当社の検査対象は、橋梁やトンネル、鉄道、水力発電施設など、地域の人々の暮らしを守る場所ばかりです。

 

データサイエンスの活用も積極的に推進していらっしゃいますね。

~データを活用して、新ビジネスの構築を目指す~

 

 インフラの長寿命化への意識は年々高まっており、目標2は「IoT技術で社会インフラの維持管理や都市計画に貢献する」としました。このことから、近年は定期的な調査・診断に加え、データサイエンスの活用により現場にセンサーを取り付けてモニタリングも行っています。橋梁に設置しているIoTモニタリングシステムは、太陽光システム充電器を利用しています。異常発生をリアルタイムで検出できるため迅速な対応ができますし、無人で点検できることからコストやリスクも軽減できます。長期的なデータの蓄積が、品質・性質の低下や破損による事故の予防・予測にもつながっています。現在、4つの橋梁でモニタリングしていますが、これは全国的にみても先進的な取り組みです。国土交通省もインフラ分野のデータとデジタル技術を活用する変革を推進しており、今後はデータを活用した新ビジネスの構築も目指しています。

柔軟な働き方ができる制度を、豊富に導入されていらっしゃいますね。

~就業規則の変更で、社員の働く時間への意識を変える~

 

 目標3は「健康経営で社員がやりがいをもっていきいきと働ける環境をつくる」です。2020年4月から中小企業においても時間外労働の上限規制が導入されたことや、社員の労働時間を適正にしたいと考えていたことから、就業規則を変更しました。スマートムーブ制度(直行・直帰)の導入は、労働時間の大幅削減につながりました。GPSの位置情報で勤務時間を記録できるため、現場への直行・直帰であっても労働時間管理が可能になります。また勤務間インターバル制度の導入で、労働時間と休息時間の適正化も図っています。テレワークや時間有給制度推進で、社員の時間に対する意識が、集中して成果を出すことへ変わったと実感しています。

 当社の業務は資格保持者しか遂行できないこともあるので、資格取得に向けた支援にも力を入れています。合格者資格の手当だけでなく、チームでの学び合いや決められた時間の勉強にも手当を付け、やる気を向上させています。

今後への意気込みを聞かせてください。

~SDGsの知識を生かし、付加価値の高いサービスを展開する~

 

 新社屋をワンフロアのフリーアドレス制にしたことで、社員のつながりも深くなりました。事務職が現場を見学・体験する機会もつくり、互いの業務内容の理解にもつながっています。

 

 

 SDGsの推進に対して当初は疑問視する意見もありました。しかし、お客様とお話しする上で必要な知識であることが浸透し、社員の意識変革につながったと思います。業務内容も働き方も、当社が大切にしているのはトップダウンではない方法を取ることです。今後も自社の強みを見極めながら、付加価値の高いサービスができる事業を構築していきます。

 

 

 

株式会社アイペック
担当者
総務部
荒木和
事業所住所
富山県富山市中田1丁目113-1
地域
富山市
業種
学術研究・専門・技術サービス業, 教育・学習支援業
主な取組内容