SDGs推進のきっかけを教えてください。
~専門チームがサステナビリティ推進を牽引~
「北陸銀行」は、地域共栄、公正堅実、進取創造の経営理念のもと、長年にわたり社会貢献活動や環境への取り組みを積極的に行ってきました。2015年に国連でSDGsが採択されたのを機にサステナビリティの視点を踏まえた経営を加速させ、2019年4月に「ほくほくフィナンシャルグループSDGs宣言」を表明して、5つの重点テーマに沿った活動を進めています。2021年には「サステナビリティ推進チーム」を設置し、役職や年齢の異なる40人ほどのメンバーからなる組織横断チームが定期的に会合を開いて、企業全体のサステナビリティ経営を牽引するとともに、論議を深めながらお客さま向けサービスに反映させています。私たちの役割は、総合金融サービスの提供を通じて、地域経済や地域社会の持続的な発展に貢献することです。
サステナビリティにおいても地域に根ざした活動をしていらっしゃいますね。
~社会に広い接点を持つ総合金融グループの強みを生かす~
「北陸銀行」はサステナビリティにおける地域の先駆者となり自社課題を解決するとともに、SDGsに関心のある企業・個人向けの商品を生み出してきました。富山県SDGs宣言の目標1でも「ESG・SDGsに関連する金融サービスの推進や、環境負荷軽減への取り組みにより、持続可能な地域社会の実現に貢献する」としています。
地域の企業からは「SDGsを推進したいけれども、何から手をつけていいのか分からない」という声をよく聞きました。そこで伴走型のサービス「ほくぎんSDGs評価サービス」を開始しました。現状の見える化やSDGs宣言書の策定を支援し、取り組みを社内外へ発信できるものにすると同時に、北陸銀行のホームページでも宣言書を紹介しています。評価から見えた課題に対しては、非金融分野を含めたビジネスマッチングにより最適なソリューションを提供するなど、社会に広い接点を持つ総合金融グループの強みを生かした提案もしています。また「寄贈型SDGs私募債」により、自治体や教育機関、地元プロスポーツチームへの寄附を行っています。発行件数は年々増加しており、2022年度上期は44件(うち富山県内14件)の申し込みがありました。サステナブルファイナンスでも、簡易な目標設定によりSDGsの取り組みを後押しする「ほくほくスリーターゲッツ」を導入するなど、地域企業のSDGsやESGへの取り組みを支援しています。
自社においても脱炭素社会実現に向けて、2030年までにグループのCO2排出量を46%削減、2050年までにカーボンニュートラルの目標を設定し、富山県と「北陸電力」によるカーボンフリーの電気料金メニュー「とやま水の郷でんき」や「日本海ガス」(富山市)のカーボンニュートラル都市ガスをともに契約第一号として導入しました。2023年夏頃には北陸銀行の所有地に建設中の太陽光発電所「ほくほくソーラーパーク(写真)」が竣工予定であり、再生可能エネルギーを北陸3県の営業店に供給する計画です。地域における脱炭素化のリーディングカンパニーとして、地域社会へノウハウを還元していく使命感も持っています。現在の見通しでは2022年度中に 2013年度比46%削減の削減目標を達成する見込みです。SDGsも脱炭素も、まずは自分たちが推進した上で、お客さまへ自信を持って提案しています。
金融リテラシー向上、ワークライフバランスの実現も図っていらっしゃいますね。
~地域社会全体の、金融知識向上に取り組む~
地域社会や地域経済が健全に成長するには、若い世代から正しい金融知識を習得しておくことが必要という考えから、目標2は「金融経済教育等を通して、子どもたちや地域社会の金融リテラシー向上に取り組む」としました。金融リテラシー向上は、ビジネスで成功を収めるだけでなく、ライフプランに合わせた資産形成や消費者トラブルにあわないためにも大切です。高校の学習指導要領でも金融教育が拡充されており、2022年度は12月までに小中高校生5,000人以上に金融の講義を実施しています。高校生向けのクイズ大会であるエコノミクス甲子園富山大会も主催しており、金融知識の深化に貢献しています。
職場づくりにおいては、従業員がウェルビーイングを感じながら働ける環境をつくり、人材育成、キャリア形成も積極的に支援しており、目標3を「多様な人材が活躍でき、生産性向上につながる職場環境を整備し、ワークライフバランスの実現を図る」としています。人材マネジメントにおける社外評価でも、ホワイト500(5年連続)、えるぼし(3段階)、プラチナくるみんを取得し、昨年は、とやま女性活躍企業の認定も受けました。女性管理職比率はグループで2021年度17.4%と業界平均14.1%を上回っています。
今後への意気込みを聞かせてください。
~企業課題解決の力となり、地域の皆さまと未来へ歩む~
富山県内の企業は、県の政策や動きに対して敏感です。私たちは富山県SDGs宣言を行ったことで地域企業にSDGsを推進していることを紹介できましたし、富山県SDGs宣言のウェブサイトはお客さま自身が業界の動向を知る機会にもなりました。今後も環境問題に加えて物価上昇や人手不足など企業課題は多く、DX化の進展などが予想されます。ほくほくFG一体となってソリューションメニューの拡充と高度化を図りながら、企業課題解決の力となることで、地域の皆さまとともに未来へ歩んでいきたいと考えています。
稲垣 裕也