SDGsを中心に据え
新しい時代に向けた
企業運営を考える

2025.03.28
NES株式会社

SDGs推進のきっかけを教えてください。

〜環境分野での事業着手後、SDGsに取り組み始める〜

 

 当社は創業より情報通信業を主軸に、半世紀以上にわたり事業を運営してきました。「環境」をキーワードにしたビジネスは、将来的な成長を視野に入れ、SDGsが誕生する以前から取り組んでいます。きっかけとなったのが、2006年に開始したEV自動車向けの急速充電器の販売代理店事業です(富山県、石川県、福井県がエリア対象)。09年には富山県をはじめとする自治体、民間企業などの依頼を受け、販売と設置施工、保守を開始しました。その後、国内でも太陽光発電への関心が高まり、メガソーラー事業にも進出。14年には富山県環境技術事業協同組合のメガソーラー設備の納入を皮切りに、太陽光発電設備の納入および保守を行なっています。さらに17年に、清水建設、日本小水力発電、当社の共同出資で「水の国電力(株)」を設立。21年に当社が発電機や電気設備の施工と納品を実施した相ノ又谷水力発電所(富山県朝日町蛭谷)が稼働を開始しました。現在は遠隔監視によって継続的に保守を行なっています。この遠隔監視システムは、GXとDXを融合させた当社独自のシステムで、今後も山間地等の僻地での小水力発電所の設置や維持にも活かせると考えています。このように、幅広い分野の環境ビジネスに取り組んできた当社は、21年4月に「エコアクション21」を宣言、同年8月に「富山県SDGs宣言」をし、環境をキーワードにした取組みを一層加速させています。

 関連会社の事業では、22年より子会社のテクノトラストが運営する次世代コインランドリーが開業しています。洗剤を使わずに、独自に開発したWash+社のWash+Water(アルカリイオン電解水)を使って汚れを除去するもので、界面活性剤や蛍光増白剤、漂白剤、着色料などの化学物質を使用せずに洗濯できるため、アトピー性皮膚炎などのアレルギーに悩む方も安心して使っていただけます。また洗剤残りがないので濯ぎが1度で済み、節水にもつながります。

 

「環境配慮型」という意識を強く持ってられますね。

〜新本社屋が「Nearly ZEB」の認証を取得〜

 

 富山県SDGs宣言の目標1は「再生可能エネルギーによる環境保護と二酸化炭素排出量削減の両立」です。現在受注している砺波市内と岐阜県内に各1基の小水力発電設備が、25年度、26年度にそれぞれ稼働する予定であり、再生可能エネルギーを使用することで、二酸化炭素削減が見込まれます。

 目標1には、24年5月に竣工した新本社ビルも大きく貢献しています。当社では富山県SDGs宣言以降「環境配慮型」を強く意識してきました。新社屋にも構想時からZEB仕様を前提としており、この考えの中で従業員の働きやすさと省エネおよび再エネ活用のビルが誕生しました。省エネルギー性能表示(通称:BELS(ベルス))において、建築物のエネルギー消費量82%が省エネルギー、創エネルギーで削減されるという評価を受け、ZEB5つ星(Nearly ZEB)の認証も取得しています。本社屋の太陽光発電量は、従業員の目に届く場所に表示されており、一人ひとりの省エネ意識も高めています。太陽光発電設備と蓄電池の使用で不足する電力は、北陸電力様の再生可能エネルギー電気料金メニュー「かがやきGREEN」を活用することで、二酸化炭素排出量を実質ゼロにし、完全カーボンニュートラルなビルを実現しています。電力は、発電所が特定されたトラッキング付き非化石証書を活用し、当社が出資する「水の国電力(株)」からの供給としています。また移転後は、富山市災害時避難協力所に登録したり、サクラパックス(株)様の協力を得て近隣住民向けに段ボールベッド作り体験会を開いたりして、地域との関わりも強めています。BCP策定を含め、災害時の対策は今後も検討を重ねます。

 富山県SDGs宣言の目標2は「廃棄物のリサイクル率向上、排気量の削減と、電気・水資源消費量の削減」です。目標1と関連する部分に特に力を入れており、本社屋の移転を機に、特にペーパーレスを促進しています。1つのフロアにごみ箱を1個にする、全従業員にスマホを貸与して、紙媒体で提出していた書類等を、可能な限りアプリの活用に変更するなど、ごみを出さない環境づくりを行なっています。稟議書や申請書を電子化したことで、承認者がコメントを入れやすくなるなど、コミュニケーションの向上にもつながりました。1、2年ほどデータ収集を続けながら、今後の取り組みにも繋げる考えです。また多様な働き方の観点からも社員制服を廃止し、サスティナブル・ビズを導入しました。

 

働き方改革の推進、福利厚生の充実を、両輪で進めておられますね。

〜社員にとって安心して働ける会社づくり〜

 

 富山県SDGs宣言の目標3は「社員が働きやすい職場環境づくり」です。社員の病気治療と仕事の両立支援を目指し、安心して長く働くことを目的に業務災害保険を更新契約し、保障の改善を図りました。以前も保険加入はしていましたが、社員にとってプラスαが得られるメニューの改善を図り、どの会社にも負けない福利厚生だと考えています。SDGs宣言によって、少子高齢化社会において従業員の確保がどれほど大切であるか気づくことができました。会社に従業員やご家族の生活を支える仕組みを作ることで、安心して働いてもらえると考えています。また22年には非常用の持ち出しリュックを子会社含む全社員に配布しました。家庭へ持ち帰ることで、ご家族の災害に対する意識の向上にもつながるかもしれません。

 さらにワークライフバランスの実現のため、有給休暇取得率の向上を全社で図っており、各自が年度で取得計画を立てる仕組みを取り入れました。24年度からはパパ育休の制度充実を進めました。各部門において適正な人員配置、業務属人化の解消に取り組んでいます。

 富山県SDGs宣言によって、当社は大きく転換しました。カーボンニュートラルの対応を求める取引先も、今後はさらに増加していくでしょう。SDGsというフィルターを通して世の中を見ると、社員の働き方や職場環境、地域貢献、地元企業との協働、教育など、様々なことに目を向け、推進できるようになりました。今後もSDGsをビジネスや地域との関わりの手がかりに、新しい時代へ向けて会社を発展させていきます。

 

NES株式会社
担当者
経営本部 経営企画部
高野 正昭
事業所住所
富山県富山市呉羽町西16-2
地域
富山市
業種
情報通信業
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