地域と成長するために
組織横断的チームを設立
行員の働きがいも創出

2024.03.28
株式会社富山銀行

SDGs推進のきっかけを教えてください。

~選ばれる銀行であり続けるために、SDGsを推進~

 

 当行は1954年の創業当初より、経営理念として「健全経営を維持しお客さまから信頼されること」「地域経済の発展とお客さまのご繁栄を通して社会貢献を図ること」「創造性、自発性を尊重し明るい企業文化を創ること」を掲げ、銀行業を通じて地域社会や経済の発展に寄与し、社会貢献活動や環境保全活動に積極的に取り組んできました。近年は人口減少や高齢化、コロナ禍などによる社会経済の停滞など、社会の変化や課題が発生し、事業環境が大きく変化しています。当行の発展には、地域経済の成長が不可欠です。そのため自治体などと連携しながら、地域資源の活用や地域課題の解決に取り組み、地域の持続的成長に貢献することが最も重要なテーマであると考え「富山県SDGs宣言」を行いました。
 SDGs推進のきっかけは、選ばれる銀行であり続けるためには、SDGsの推進が不可欠だと考えたからです。2021年を「富山銀行SDGs元年」として、中沖雄頭取が委員長となって、行内にプロジェクトチームを立ち上げました。組織横断的にメンバーを公募し、本部や店舗から合計21名(女性5名)が集まりました。20〜60代のメンバーによって、さまざまな取り組みを実行しています。お客さまに喜んでもらうことと並行し、行員や社員の働きがいが非常に重要なファクターであると考えています。

 

地域のSDGs推進を後押ししておられますね。

~素晴らしい取り組みの企業を表彰、地域のお客さまの背中を押す~

 

 最初に実施したのは、SDGsとは何かを行員や社員が理解するためのインナーブランディングです。SDGsは分かりにくい部分も多いため、地域のお客さまとの取り組みを進めるのに先立って、行員や社員が自分ごととして考える必要があると考えました。業務の内外を問わず、優れた活動をした店舗に対しては中沖頭取が表彰も行い、一人ひとりがSDGsの知識を深めていったのです。
 富山県SDGs宣言の目標1は「持続可能な地域社会」の実現です。お客さまのSDGsの目標達成に向けた取り組みを支援するために、SDGs関連の商品を作りました。「富山銀行SDGs私募債」「富山銀行エコ私募債」「SDGs推進ローン」など、SDGs関連融資商品をお客さまに提案し、活動を応援しています。また2022年度からは「TOYAMA SDGs AWARD」を創設して、地域課題解決に取り組む企業を表彰しています。中沖頭取や外部からの審査員が取り組み内容を評価し、表彰によってSDGsを通じた地域課題解決の取り組みを後押ししたり地域を活性化させたりすることにつなげています。22年度と23年度を比較すると、地域でのSDGsの取り組みが高度化しているのが分かります。

 

 

 2023年11月には高岡市と連携し、創業相談から事業の立ち上げまでを共同で伴走支援する「高岡市/富山銀行コンソーシアム創業支援事業」もスタートしました。事業創出支援やクラウドファンディングによる資金調達をサポートする企業とも提携し、スタートアップを支援しています。また「SDGsサポートサービス」として、地域企業のSDGs宣言書の策定、取り組み状況の把握や分析、対外的な情報発信のサポートを行っています。個人のお客さまに対しては、落語を通して相続について知ってもらう機会の創出の取り組みや、横田支店のリニューアルオープンによりカーボンニュートラルやバリアフリーに配慮した店舗づくりもしています。

働きがいも生み出しておられますね。

~行員・職員の活動を評価、働きがいのある職場環境をつくる~

 

 目標2は「健全な経営管理体制の確立」です。各営業店で、地元警察署に協力してもらいながら、防犯訓練や特殊詐欺被害防止講習会を継続的に実施しています。高齢者を狙った犯罪防止のために、当行のオフィシャルパートナーでオペラ歌手である澤武紀行さんや地元警察署と連携し、特殊詐欺防止のキャンペーンも行っています。また地域との接点があるメリットを活かして、富山県と協働でがん検診受診促進のための活動もしています。
 目標3は「働きがいのある職場環境創り」です。当行ではSDGs推進をきっかけに、リフレッシュ休暇の日数を増やし、2021年4月からは人事制度や給与体系を10年ぶりに見直し、資格給の新設によってインセンティブ制度を導入しました。2022年には若手や中堅行員の給与水準増加を図り、働きがいがあり、やる気を引き出す職場づくりにも努めています。「SDGsマイスター」制度を設けて、自薦他薦を問わず一人一人が地域や健康増進、スキルアップなどプライベートで取り組んでいることを表彰し、有意義な余暇、ワークライフバランスの充実を図っています。

 

 

 また、企業価値向上と、職員のSDGsに対しての当事者意識向上に繋げるために「アクションプラン制度」を設けて、創意工夫に基づく取り組みの表彰もしています。アスリート採用も継続しており、アスリートの競技生活や社会人のデュアルキャリア充実をサポートするとともに、選手を一丸となって応援することで、行内の一体感も醸成しています。

今後への意気込みを聞かせてください。

~地域のお客さまに頼られる存在であり続ける~

 

 富山銀行は、地域のさまざまなお客さまと接点を持つとともに、提携している県外企業もあります。当行を通して、お客さま同士のパートナーシップを図ったり深化させたりすることができます。困りごとがあったとき、新しいことを始めたいと考えたときに、地域の皆さまに対してアイデアを出したり解決に導いたりする存在でありたいと考えています。
 富山県SDGs宣言によって、当行がSDGsを推進していることをPRすることができました。SDGsからは新たな事業機会が創出されてビジネスチャンスが生まれたり、企業のブランドイメージや信頼度が向上したり、働きがいのある会社として従業員の満足度を上げ、生産性の向上にもつながっています。経営戦略や成長戦略にSDGsの考えを取り込めば、企業価値を向上させられるとても重要なものです。今後も地域の素晴らしい取り組みを表彰する「TOYAMA SDGs AWARD」、「SDGsサポートサービス」など、SDGsにまつわるサービスを提供しながら、地域の皆さまの取り組みをサポートしていきます。

株式会社富山銀行
担当者
総合企画部
中嶋 尚大
事業所住所
高岡市下関町3番1号
地域
富山市,高岡市,魚津市,氷見市,滑川市,黒部市,砺波市,小矢部市,南砺市,射水市,上市町,立山町,入善町
業種
金融業・保険業
主な取組内容