ICT技術の活用で
効率化と生産性向上を図り
働き方を変える

2024.03.28
安達建設株式会社

SDGs推進のきっかけを教えてください。

~地域のインフラを整備する企業として、SDGs推進は当然のこと~

 

 建設業は自然環境の保全やインフラ整備など、地域と密接に関わりながら暮らしを支えている業界です。SDGsを推進することでさまざまな社会課題の解決を図るという動向がある中で、おのずと当社も取り組みを進めることになりました。SDGsの推進は、企業の存在を地域にアピールするツールでもあると考えています。国や地方公共団体の公共工事を多く請け負う中で、豊かで持続可能な社会の実現に向け、富山県SDGs宣言の目標を立てました。
 SDGsを推進していることで、直近5年で新卒・中途採用とも若い人材が豊富に入社しています。幅広い年代の人材が在籍しているので、技術継承もスムーズに行われています。また女性活躍企業のイメージも定着しました。男女問わず、未就学児の子どもがいる従業員は看護休暇が取得でき、定年後の人材も再雇用して会社の成長につなげるなど、企業の発展とSDGsの取り組みを両輪で進めています。

 

ICT施工や新技術の導入を積極的に行われています。

~省力化と作業精度向上を同時にかなえる~

 

 富山県SDGs宣言の目標1は「自然環境の持続可能な管理に配慮しながら質の高い強靭なインフラ整備を目指す」です。建設現場の生産性を向上させるため、当社では現場での作業の人員の削減や省力化を目的に、ICT施工や新技術の導入を積極的に行い、運用を図っています。例えばICT測量機器を使えば、これまで2人で実施していた作業が1人で行えるようになり、省力化が進むだけでなく、三次元測量によって計測や算出の精度が格段に向上します。熟練の技術が必要な計測も、機器の活用によって属人化することなく作業を進められます。急斜面などの危険箇所での無人化施工の導入も始まっており、将来的には ICT施工や新技術を導入する現場を、さらに増やしたいと考えています。また発注者による検査も、以前までは現場で行われていましたが、今はzoomやiPadなどを活用するようになりました。公共工事の提出書類は電子納品がほとんどで、当社の日報もクラウド型のシステムを活用しています。便利になった一方で、インターネット環境がないと工事を進められないという事案も出てきました。そこで次世代の衛星通信サービス「スターリンク」の実証実験に参加し、山間部の現場で活用しています。アンテナを持って移動することで、どこでもインターネットにアクセスができます。
 当社では、山や河川、水路での工事を多く手がけており、土木工事の実績が業務の中で大きなウエイトを占めています。そのためグリーンインフラの整備にも関わりながら自然環境の保全に努めています。環境に関する国際規格であるISO14001を取得し、樹木などを適正に管理し、これに準拠した環境マネジメントに基づく事業を行っています。長年にわたり環境省のエコアクション21のガイドラインに沿った工事を行っていましたが、ISO14001を取得したことで環境に対する意識がより高い企業であることが周知できたと思っています。

 

働きやすい職場環境を整備し、強固な経営基盤を築いておられます。

~女性活躍や資格取得の推進を、企業の成長材料にする~

 

 富山県SDGs宣言の目標2は「住みよいまちづくりのため、環境保全、環境汚染防止に努める」です。社内の安全担当者や役員が、月1回の安全対策会議を開き、現場の進捗状況を把握しています。また当社には協力会社がいくつかあり、年2回、主な現場を一緒に見回りして施工状況を確認しています。協力会社の方々とは、ゴルフや旅行、バーベキューなどを通して仕事以外でも親睦を深めており、良好な信頼関係を保っています。
 ボランティア活動に積極的に参加しており、地元の道路周辺や農村、農業関連地域の環境保全も行っています。また積雪の際に深夜から除雪作業を行うことで、地域の方々の生活が滞りなく進むようにお手伝いしています。さらにNEXCOからの依頼で、大雪の際にはインターチェンジの閉所作業もしています。

 

 

 また大災害が発生すると、北陸地方整備局や県、市町村と締結している協定に基づき、富山県建設業協会会員会社として被災地の復旧活動にも参加します。能登半島地震の際は、食料や宿泊に使う装備なども持ち込み、自己完結型で2泊3日の作業を行いました。また道路啓開のための瓦礫処理なども行ってきました。
 目標3は「男女の区別なく公平で質の高い技術教育の場を提供し、長く働きやすい環境整備に努める」です。土木技術者19人中1人、建築技術者15人中5人が女性です。40代の女性技術者が3名いるのは富山県内の建設業ではとても珍しいことです。女性活躍推進の重要性が叫ばれるずっと以前から、当社では男女にかかわらず採用を行っており、もともと賃金の格差もありません。女性たちは出産や育児休業後にも復職して勤務を続けています。
 建設現場での作業には資格が必要なものもあるため、従業員には年次に合わせて試験実施の時期を伝えています。合格者には会社側から資格手当も支給しています。また定年後も人材を再雇用することで、技術の継承や後進の成長を促し、強固な経営基盤を確立しています。

今後への意気込みを聞かせてください。

~自分たちの存在意義を見つめ直し、取り組みをより深化させる~

 

 富山県SDGs宣言で取組目標を明確にしたことで、従業員や協力会社、地域の方からの当社に対する意識が変化したのを感じています。女性活躍や人材の育成など、会社として筋道を立てながら推進してきたことが、評価されるようになりました。
 能登半島地震での復旧活動は、自分たちの存在意義を見つめ直すきっかけになりました。SDGsの推進内容も、改めて見直し、より深化させる必要があると感じています。少しずつでも当社の活動を伝えながら、地域にとって大切な役割を担っていることを、皆さんに知っていただきたいです。

安達建設株式会社
担当者
総務部
山村 高正
事業所住所
富山県南砺市野田425番地の7
地域
南砺市
業種
建設業
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