SDGs推進のきっかけを教えてください。
~事業を通して、一人ひとりの人生がより輝くように応援~
2015年に国連でSDGsが採択され日本でも広がり始めたころ、当社が運営する女性専用フィットネスクラブ「カーブス」の活動がSDGsの理念と合致していることに気づきました。世の中の流れに取り残されないようにしたいという気持ちも大きく、会員の方々と協働でSDGsを推進することを決めました。当社は、誰もが自分らしく生きられるように、女性の社会進出やキャリアアップを後押ししています。富山では、家庭を守り子育てするのが女性の幸せという考えが今も残っていますが、私たちは男女の差がなく働ける社会や環境をつくることが、現在の暮らしや老後の暮らしを豊かにすることだと思っています。
カーブスでは会員の皆さんのことを、苗字ではなく名前で呼びます。「お母さん」「お婆ちゃん」と家庭で呼ばれる女性たちに、もっと自分という存在を意識し、心や体に目を向けてほしいからです。正しい運動習慣は、病気や介護の予防だけでなく、新たな目標や夢を持つことにもつながります。事業を通して、一人ひとりの人生がより輝くように応援していきます。
会員の皆さんと協働でSDGsを推進していらっしゃいますね。
~会員の方々からSDGsコミュニティーパートナーを募る~
2021年秋にSDGs委員会を発足させ、富山県SDGs宣言の目標1に挙げた「WinSDGsパートナー メンバー様からSDGsパートナーを50人募る」のとおり、カーブス会員様からSDGsコミュニティーパートナーを50人募ることを目指しました。富山、高岡、新川の店舗で、映像視聴やオリエンテーション、ゲームを実施してSDGsの理念を紹介したところ、目標を超える54名の応募がありました。SDGsコミュニティーパートナーの方々には、身近な方々への健康情報を掲載したチラシの配布や、SDGsの普及をお願いしています。
当社はこれまでも事業を通して、すべての方の生き方を応援してきました。そのためパートナーの方々の活動も、病気や介護、孤独、孤立など、困りごとを抱える方の不安な気持ちを払拭することに結びつけたいと考えています。各々の活動を店舗に掲示し、県内14店舗に通っている約5,000人のカーブス会員の目に触れられるようにしています。多彩な活動を知ることで「自分にもできるかも」「やってみたい」という声も聞こえるようになりました。こういった活動を通して女性専用のカーブスでしたが、男性からもやってみたいという声が多かったこともあり、北陸初の男性版カーブス メンズカーブスを立ち上げました。また、2023年からはコロナ禍で開催できなかったイベントも再開し、清掃活動や納涼祭を実施する予定です。
長年にわたり、福祉施設へ食料品を寄付されていらっしゃいますね。
~フードドライブを実施し、食品ロス削減への意識を高める~
目標2は「フードドライブ活動からフードロス削減」です。2007年からカーブスジャパン(東京都)が実施しているフードドライブ事業に参加しており、毎年1月中旬から約1ヵ月間かけて家庭で使う予定がなかったり余ったりしている食料品を持ち寄っていただいています。この時期に実施しているのは、お歳暮にもらったものや正月に食べ切れなかった食材が家庭にあり、食材を使い切れないことに困っている方もいるからです。毎年1,000人以上が参加し、2023年は集まった食材を、ルンビニ園、富山愛育園(ともに富山市)、高岡愛育園(高岡市)に届けました。毎年実施していることから、会員の食品ロス削減に対する意識も向上しています。
女性がたくさん活躍していらっしゃいますね。
~女性のキャリアアップ・働きがいに貢献する~
世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダーギャップ指数」で、日本は主要先進国の最下位に位置しています。その現状に立ち向かおうと、目標3は「女性が働きがいを持って働ける環境づくり」としました。当社は幹部や従業員の9割以上が女性で、全体の9割が正社員として働いています。女性は出産や子育てを理由にキャリアプランの計画が立てにくく、キャリアアップを諦めてしまう風潮があるため、育児休業を取りやすく復帰後も時短勤務がしやすい体制づくりをしています。また、育児がひと段落したころからのセカンドキャリアの選択肢となれるよう、未経験採用も積極的に行い、女性の社会進出を支援しています。各店舗のスタッフは、店長もしくはリーダーの肩書きを持ち、業務の中で責任を持つことで働きがいを見つけられる工夫もしています。運動を習慣にしたい会員の皆さんに対しての、やる気の引き出し方、話し方などを高められるよう、社内勉強会や研修制度も充実させています。
今後への意気込みを聞かせてください。
~地域の方々へ正しい運動習慣を普及し、社会課題を解決する~
フィットネスクラブの運営により地域の方々の健康寿命を延ばすことは、医療費や介護費の削減になり、社会課題の解決につながります。高齢になると運転免許を手放す方も出てきます。運転免許がなくても会員の方々が負担を感じずに通っていただくために、カーブス・メンズカーブス含め、身近な地域で通えるようにと店舗の増加を検討しています。
「SDGsという言葉は聞いたことがあるけれど、詳しい内容までは分からない」と話す会員の方々がまだたくさんいます。今後も体験型の講習会を実施し、啓発活動に力を入れていきます。
寺林 結依