地域に根ざした協同組合として
農業を起点としたSDGsを推進

2024.03.29
富山県JAグループ

SDGs推進のきっかけを教えてください。

~事業や活動を通じてSDGs達成に寄与する~

 

 富山県JAグループは、食と農を基軸として地域に根ざした協同組合を目指し、組合員の皆さんの声に応えながら農業者の所得拡大、地域の活性化を基本とした「不断の自己改革」への取り組みを通じて、持続可能な地域農業・地域社会づくりを行ってきました。SDGsの17の目標は、協同組合運動の基本的な価値・原則等を示した「JA綱領」と親和性が高く、JAグループにおける基本的な価値を共有しています。私たちは協同組合としての基盤を強化し、持続可能な農業と協同の力で豊かで暮らしやすい地域の実現を目指し、SDGsに取り組んでいます。

 

食料自給率の引き上げを目指しておられますね。

~国産の農畜産物の消費が、豊かな食を守るきっかけに~

 

 富山県SDGs宣言の目標1は「JA地域農業戦略の策定・実践による農業者の所得拡大と生産拡大をめざします」です。富山県は全国的に見ても稲作が盛んな地域で、収穫されたお米は高い評価を得ています。しかし人口減少や食の多様化などを理由にお米の需要は減少傾向にあります。そこで非主食用米や大麦・大豆の生産拡大、園芸産地の育成を行い、高収益作物等への転換を積極的に進めています。
 また、食の安全への関心が高まっている中、JAグループでは、農業者がGAP(農業生産工程管理:Good Agricultural Practice)認証を求められる機会が今後拡大すると考えており、「とやまGAP」の普及拡大を目的とした推進大会の開催やJA生産部会等におけるGAP実践、第三者認証取得の支援に取り組んでいます。
 なお、農業現場では、農業従事者の減少と高年齢化に伴う担い手の減少により、個人農家の離農や大規模農家への農地の委託が進むなど、近年、農業を取り巻く環境が大きく変わっています。
 そのような中で、次世代担い手への円滑な事業継承支援や相談機能の強化を目的とした研修の開催、担い手の省力化につながる「スマート農業」の普及・推進、富山県と連携した農業支援サービス等、を行っています。
 また、JAグループでは全国規模で「国消国産(こくしょうこくさん)」の取り組みを行っています。これは、「国民が必要とし消費する食料は、できるだけその国で生産する」という考え方です。
 日本の食料自給率はカロリーベースで38%と、食料の多くは外国から輸入されたものです。しかし今後も食料を海外に依存し続ければ、価格の急激な高騰、物流障害などが起きたときに国民の食生活を守ることができません。そこで国が定める目標「2030年度における食料自給率をカロリーベースで45%とする」に向けて取り組みを進めています。2023年は「食育推進全国大会inとやま」や「越中とやま食の王国」といったイベントへ参加、10月16日の「国消国産の日」には富山駅でパックごはんの配布と合わせて「国消国産」の呼びかけを実施しました。地産地消を通じて国産農畜産物を選んで食べることにより「国消国産」につながり、持続可能な食料の生産や農業振興、フードシステムの構築、地域社会づくりに貢献することができるのです。
 また、林業、漁業との協同活動に加え、商工業団体と連携した農商工連携事業による商品開発や販路拡大等、地域を支える経済団体とも連携した取り組みを行っています。

 

協同組合としての役割を積極的に果たしておられますね。

~誰もが安心して暮らせる豊かな地域づくりに貢献~

 

 目標2は「アクティブメンバーシップ(組合員が積極的にJAの事業や活動に参加すること)の強化により、JAへの『理解』、JA事業の『複合利用』、JAへの『意志反映』、『運営参画』を促進します」です。JAグループでは、女性の役員、総代や組合員の割合を増やすことにより、女性のJA運営への参画の機会増大に取り組んでいます。その一翼を担うのがJA女性部です。コロナ禍で一時休止していましたが、食農教育や食育活動等、女性部の活躍は著しいものがあります。また、フードドライブの活動は県内のJA女性部で実施され、集められた商品等を社会福祉協議会や子ども食堂に寄付しています。

 

 

 また、グリーンツーリズムでは、農作業体験や収穫した野菜を使った料理実習を行うことによって、野菜の形や農家の仕事を知らない子どもたちに農業の魅力や奥深さ、大切さを伝えるきっかけになっています。このような女性部の活動は、安心して暮らせる地域づくりにもつながっています。これらの活動は、各JAが発行する広報誌などにも掲載され、持続可能な社会に向けた取り組みであることを組合員に紹介しています。
 目標3は「JAは、総合事業を通じて地域の生活インフラ機能の一翼を担い、地域の活性化に貢献します」です。JAは支店や農産物直売所を拠点に、総合事業を通じたサービスを提供し、豊かで暮らしやすい地域社会の実現に貢献しています。また地域社会においては、高齢化が進む地域も多くありますが、健康管理や介護予防につなげたり、地域の高齢者等が孤独にならないよう「ふれあいの場」を設ける等、地域社会に貢献しています。これが安心して暮らせる地域づくりにもつながっています。
 また、JA富山厚生連と連携した健康増進活動、介護保険事業や助け合い組織の活動を支援しながら、「地域の皆さんの拠り所」として「地域に根ざした協同組合」としての機能を発揮します。

今後への意気込みを聞かせてください。

~多彩な取り組みを続け、豊かで暮らしやすい地域社会をつくる~

 

 富山県JAグループは独自の目標を定めることに拘らず、営農・購買・信用・共済・販売・生活といった、それぞれの事業での取り組みを重ねながら、最終的に国や県の目標に寄与して持続可能な社会の実現、地域の発展に貢献したいと考えています。
 今後も地域に根ざした協同組合として、持続可能な農業と協同の力で、豊かで暮らしやすい地域社会の実現を目指します。

富山県JAグループ
担当者
農業対策部農業対策課
西本昌史
事業所住所
富山県富山市新総曲輪2-21
地域
富山市
業種
農業・林業, 医療・福祉
主な取組内容