SDGs推進のきっかけを教えてください。
〜グループでのSDGs経営をきっかけに、社内に専門部署設立〜
魚津市にある「ダイヤモンドエンジニアリング株式会社」は、「日本カーバイド工業株式会社」のグループ企業です。当グループでは2030年のありたい姿を「サステナブルな社会に貢献する、キラリと光る企業グループ」と定め、中期経営計画「NCIキラリ2025」を策定しました。当社はもともと社会的な要請を受け、脱炭素やカーボンリサイクル関連の事業を行い、技術力で新たな価値を創造してきたことから、SDGsをサステナブル経営の核と捉えています。
2021年には社内にSDGs推進の専門部署である「SDGs推進室」を創設し、当該スタッフが中心となり取組みを進めてきました。北陸銀行等の協力を得ながら目標を設定し、2022年6月には富山県SDGs宣言を発表しました。現在までに、持続可能な社会に向けた多彩な取組みを実施しています。同年からはSDGsへの社会的な関心の高まりにともない、社員に向けたアンケートを実施し、SDGsの浸透度や知識の数値化、会社が実施している社会貢献活動等に対する意識調査もしています。アンケートをもとに「DECクールビズ」「DECウォームビズ奨励」を導入するなど、社員の意見から誕生した取組みもあります。
事業内容とSDGsの親和性が高いですね。
〜脱炭素に向けた企業の活動を、技術力でサポート〜
当社は名前の通りエンジニアリング会社で、高炉や溶銑(ようせん)に関わる国内大手鉄鋼会社の製鉄プラント建設事業、発電設備を備えた電力プラントの建設事業などを展開しています。そのため製鉄や電力分野など、カーボンニュートラルトランジションに向けた企業の活動を、技術力でサポートする立場です。温室効果ガスの実質排出量をゼロに移行するため、プラント設備の高効率化を目的とした継続的な改善、保全、品質保証、分析なども当社の事業内容となっており、カーボンニュートラルへの取り組みを後押ししながら持続可能な社会に貢献しています。
このようにカーボンニュートラルとの親和性の高い事業を主力にしていることもあり、富山県SDGs宣言の目標1は「独自の技術と優れたサービスにより、カーボンニュートラルを目指した未来社会の創出に貢献していく」としました。また目標2は「省エネへの取り組み、CO2排出量削減に関する事業を通じて、地球環境にとって真に価値のあるサービスを展開していく」としています。水素社会を目前に控え、独自の技術を磨いたり、廃プラ低減事業を展開したりもしています。
ワーク・ライフ・バランスを重視しておられますね。
〜従業員と家族の心身の健康が、重要な経営財産である〜
SDGs推進では消費するエネルギーにも着目し、2020年度から本社および事業所で電力使用料の削減に取組んでいます。定期報告を行うことで節電に対する意識が向上し、2023年は2020年度比で31%の電力削減を達成しました。北陸電力との契約もエコ電力に切り替えています。また2021年度からは複合機の印刷枚数削減の取り組みを始めました。DXの推進や業務のペーパーレス化が重なって、こちらも2023年は前年比で9,000枚の印刷枚数の削減を達成しています。
人材を大切にする健康経営にも力を入れ、従業員はもちろん家族の心身の健康を重要な経営財産であると捉え、健康な職場づくりを推進しています。育児休暇制度、育児時短勤務制度の充実だけでなく、介護休業制度や介護時短勤務制度、介護休暇など、さまざまな制度の充実を図っています。柔軟で多様な労働環境を整備し、在宅勤務制度やフレックスタイム制度、勤務間インターバル制度も導入しました。目標3の「労働衛生の徹底と人材の積極的な育成を通じてライフワークバランスの実現を図り、働きがいのある、キラリと光る社会を実現していく」という考えが、一つひとつの取り組みに色濃く表れています。
地域社会との交流も活発にしておられますね。
〜SDGsをきっかけに、地域社会への貢献を活発に〜
SDGsを推進するようになり、地域貢献に対する意識も変わりました。地域経済の活性化、地域コミュニティとの関わりを持つことで、信頼関係を築き上げています。毎年秋に実施される、魚津市の少年野球連盟が主催する秋季大会のスポンサーになり、優勝チームには「DEC杯」の優勝盾、メダルを贈呈しています。また魚津駅(あいの風とやま鉄道)などへ傘を寄付し、突然の雨の際に駅利用者に活用してもらっています。黒部市の石田浜や、魚津市の鴨川の清掃、魚津市社会福祉協議会のフードネーション(フードドライブ)の取り組みにも参加するようになりました。
SDGs宣言は、会社から社会への意思表示であり、会社の存在価値を地域やステークホルダーに伝えるツールにもなります。今後も社会課題解決を目標に、価値ある取組みを続けます。
柳平 大我