人財こそ最大の企業資産。
ブランド力と認知度を高め、富山米の「米菓」を世界に広げる。

2023.03.09
日の出屋製菓産業株式会社

SDGs推進のきっかけを教えてください。

~自社の企業理念や事業内容と、SDGsの親和性の高さを再認識~

 

 2019年に南砺市が内閣府から「SDGs未来都市」に選定されたことです。先導役を代表取締役専務である川合洋平が担い、まずは経営層が一丸となってSDGsの理念や目標を学ぶことからスタートしました。この学びの中で気付かされたのは、自社の企業理念や事業内容とSDGsの親和性の高さです。2024年に創業から100年、法人設立から70年を迎える弊社の企業活動とSDGsの考えと重なる部分が多く、弊社が継続してこられた理由を再認識できたと思っています。弊社ではSDGs推進のための新たな取り組み目標を設定せず、既存の事業や取り組みを数値化することにより「見える化」し、進捗状況を継続確認できるようにしました。SDGsをより高いレベルで達成したいと考えており、明文化により事業の一層の深化も図れると思います。

 

地域人財の積極的な雇用を重視していらっしゃいますね。

~地域の雇用を生み、女性や障害者も働きやすい職場をつくる~

 

 弊社の社是 創業の精神は、創業者川合宜之が掲げた「人づくり品づくり」です。富山県SDGs宣言でも、目標1に「安定的な生産体制を維持していくために、地域の『人財』を積極的に雇用する」としました。働き方が多様化する中で、UIJターンを含めた中途採用を積極的に行うだけでなく副業も受け入れており、一人ひとりの経験や専門知識を発揮してもらう環境を用意しています。長引くコロナ禍に新たな挑戦ができたのも、多彩な知識や経験を持つ従業員がいたからです。
 雇用は段階的な目標を設定しており、増員を図りながら女性従業員6割以上を確保していく計画です。創業当時から女性雇用を積極的に推進し、旧福光町でいち早く託児所を設けるなど、女性が安心して働ける環境づくりをしてきました。育児休業後の原職復帰は9割以上で、小学校入学前までの子を養育する従業員に対して短時間勤務制度を導入しています。
 障害者雇用も長年にわたり続けており、ほとんどが正社員として働いてもらっています。そのうちの1人の従業員が、2020年に障害者雇用優良事業所等の厚生労働大臣表彰において優秀勤労者にも選ばれています。医師やケアワーカー、障害者就業・生活支援センターとも連携した就労支援を行っており、誰もが自分らしく生(活)きられる社会の実現に貢献したいと思っています。

販路を拡大しながら、富山米の消費にも貢献していらっしゃいますね。

~富山米を原料に使い、富山の農業や原風景、人々のくらしを守る~

 

 目標2は「農業を守るため『富山県産米』100%の製品を国内外のお客様に安定的にお届けする」です。原料米に富山県産の「てんたかく」「新大正糯」等を使い、稲作が盛んな富山の農業や原風景、人々の暮らしを守りたいと考えています。製品の増産に向けた戦略にも力を注ぎ、国内需要のみに頼らず輸出もしています。米食文化のあるアジア圏は米菓が受け入れられやすく、中国では春節のギフトに選ばれることも増えてきました。今後は米国や欧州にも販路を広げていきます。
 コロナ禍をきっかけに国内のこだわりをもつ企業と連携した高付加価値商品の開発にも乗り出しました。「加賀屋」(石川県)や「旭食品」(大阪府)など、認知度の高い企業とのコラボ製品も生まれています。連携で肝心なのは、単なるOEMではなく弊社の名前も全面に出す「コラボ」であるということです。自社の技術の高さとパートナー企業の魅力が伝わる製品開発を共同で推進しており、今後もいろいろなコラボ商品の発売が控えています。この成果は一朝一夕に得られたわけではなく、コロナ禍でも他業種と交流の機会を持ちながらアンテナを高くしていたことがようやく実りはじめたものです。首都圏ではポップアップショップもいろいろな場所で継続的に行っており、認知度アップやファン確保につながっています。

 

環境負荷軽減と食品ロス削減を、ともに達成しようとされていますね。

~賞味期限見直しやパッケージ変更で、食品ロス削減~

 

 目標3は「食料資源の無駄を無くし環境への負荷を軽減させるため、食品ロスの削減に取り組む」です。食品ロス削減に向けて、2年前から賞味期限の見直しを行っています。賞味期限を長くするには酸化させないことが大切ですが、環境への配慮も必要です。メーカーに協力してもらいパッケージそのものを変え、乾燥剤の封入をやめて窒素ガスを充填することで賞味期限の延長につなげました。
 食品ロス削減に取り組むことで、生産計画の改善や販路拡大など様々な波及効果がありました。なお、賞味期限が近くなった品は、地域の障害者支援施設等やフードバンク等へも寄付しています。

 

今後への意気込みを聞かせてください。

~SDGsを企業経営の核として位置づける~

 

 従業員向けの勉強会も実施し、具体的な取り組みを加速させます。近年はSDGs推進を公表していることで、求人面で大きな成果が出てきました。今後は企業間の取引でも、SDGsやサステナビリティ実現に向けた活動の重要性がより増すと考えています。SDGsの推進は、ステークホルダーからの評価を高め、企業や製品に対する信頼や支持につながりますので、今後も企業経営の核を成すものとして位置づけていきます。

日の出屋製菓産業株式会社
担当者
総務部
土谷浩幸
事業所住所
富山県南砺市田中411
地域
南砺市
業種
製造業
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